新宮市の古老が語った伝説や怪異の記録
どんな伝承か
大正二年に新宮と勝浦のあいだを汽車が走り出した。山奥の村に住む男が、一度汽車に乗ってみたいと山坂をわらじがけでやって来たが、駅に着いたのは夜で、もう終列車が出たあとだった。男が大声で「おーい、汽車、もう寝たか」と怒鳴ると、駅員が寝ぼけ声で「ああ、もう寝た、寝た」と答えた。男は、寝たものは仕方がないが、だいたい早寝しすぎるわい、もっと働けと、かんかんに怒っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考・1990年代初期(平成初期))
松谷みよ子『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』を小話単位で全550話収録。心霊写真など写真の怪と、文明開化期の怪異にまつわる現代の民話を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明377話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。