門司へ移った気性の荒い猫ハイド
どんな伝承か
昭和四〇年ごろ、父の転勤にともなって東京から門司へ連れて行った猫がいた。名はハイド。利口ではあるが気性が荒く、まるで二重人格のように豹変する。喉を鳴らして膝に乗ってきたかと思えば不意に手を噛み、甘えた声で近寄っては耳に食いつく。とりわけ、その日に悪口を言われたり、悪さを叱られて頭を叩かれたりすると仕返しは確実で、夜中に枕元の障子をよじ登って破り、寝ている者の顔もかまわず布団の上を走りまわった。家の者は夜が来るのを恐れ、頭から布団をかぶって眠ったという。生傷の絶えない暮らしだった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。