明治十年代のころ、杉島に近い岩入(※ルビ:いわいり)
どんな伝承か
長野県上伊那郡の話。明治十年代のころ、杉島に近い岩入にもしばしば狼が現れて気味悪がられていたが、とうとう子供を一人食い殺してしまった。数日たって、その狼が三峰川の対岸の山で丸くなって寝ているという注進が子供の父親に届いた。父親はわが子の敵と棍棒を手に現場へ駆けつけたが、一足遅かった。遠く去っていく狼の後ろ姿を見て、父親は棍棒で大地を叩き、悲しさのあまりその場に泣き伏してしまった。この狼も病んだ狼であったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 10 狼・山犬、猫(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代推定)
松谷みよ子『現代民話考 10 狼・山犬、猫』を小話単位で全541話収録。狼・山犬・猫にまつわる現代の民話・怪異譚(送り狼・化け猫など)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明535話・市区町村判明490話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。