父が未だ十五、六歳の頃の話だという
どんな伝承か
静岡市のある家では、父がまだ十五、六歳だった頃、安倍川がかなり増水したときのことである。近所の人と縁側で碁を打っていると、誰も渡る者のない激流の真ん中に一人の男が飛び込み、胸から上を出したまま矢のような速さで下って行くのが見えた。川原に上がったその男は身の丈七尺ほどもあり、非常な速さで山中へ走り去って忽然と姿を消した。皆は河原小僧の仕業だろうと話し合ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。