大井川奥・市助が見た山丈と篠竹の糞
どんな伝承か
駿河国巡村記(志太郡)に載る話。大井川奥の深山には山丈という怪獣がいるという。島田の里人で材木を業とする市助は、しばしばこの山に入っていた。ある時、谷畑の里を未明に立ち、智者山の険岨を越えて八草の里へ向かう途中、夜明け前の深い林で、前方数十歩の大木の根に丈一丈余りの怪物が凭れて立ち、左右を顧みるのを見た。案内人に隠れよと言われ潜むと、怪物は峰の方へ疾走した。跡を検めると一箕ほどの糞が堆く積もり、近くの木は一丈上で皮を剝いだ跡があり、糞には噛み砕いた篠竹が混じっていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第4巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第4巻』を全822話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。