牛車の帰り道で化かされた酢売り
どんな伝承か
昔、真亀のある人が酢を牛車に積み、道々の店に卸しながら白子町の八斗まで売りに出た。帰りは日が暮れ、八斗の肉屋で買った肉に空のたるをかぶせて家路についた。牛は通い慣れた道なので手綱を任せ、うとうとしていたが、目を覚ますと道が違う気がして、叱るように牛を別の方へ向けた。長いこと歩いて行き止まりで牛が止まり、そこが真亀でないと知って、ようやくきつねに化かされたと気づいた。北へ行くつもりで南へ進ませていたのである。家に着いたのは夜中過ぎだったが、肉は重い四斗だるの下で無事だった。きつねやむじなは、魚や肉を持つ人をだますといわれる。
原典より
その時やっと、「変だな。きつねにばかされたな」と、気がつきました。—— 九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌)
『九十九里町誌 各論編 下巻』は、千葉県九十九里町の町誌各論編下巻から、第八章「口頭伝承」の第一節「昔話」を収めたものである。作田・片貝・真亀・藤下・西野・粟生など町内の地区に伝わるきつね・むじな・カッパ・大蛇の話や、屋号の由来、天王様ときゅうりの禁忌、将軍の鷹場にまつわる話を、です・ます調の語りで記す。見出しに地区名を添えて話を並べ、後半には神かくし・いそぎつね・船幽霊など町内に共通する話をまとめる。