やかんのふたで勝ったカッパ相撲
どんな伝承か
作田から東中へ向かう道に中村橋という木橋があり、その上流の作田川には幾重にも折れ曲がった七曲がりという所があった。よどみは深く渦を巻き、泳いだ子供がおぼれたこともあって、カッパがすむと恐れられた。ある夏、中村橋のそばでイナを釣っていた年配の釣師が、四、五歳の子ほどのカッパに肩をたたかれ、勝てば魚をやるが負ければ置いていけと相撲を挑まれた。四つに組んだ釣師は川底へ引き込まれたが、やがて浮かんで岸に泳ぎついた。尻子を抜かれないよう、やかんのふたを尻に当てておいたのだと笑って語ったという。耕地整理で堤がまっすぐになってからは、カッパの話も聞かれない。
原典より
カッパは、「しめた」と、釣師に飛びついてきて、正面から四つに取り組みました。—— 九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌)
『九十九里町誌 各論編 下巻』は、千葉県九十九里町の町誌各論編下巻から、第八章「口頭伝承」の第一節「昔話」を収めたものである。作田・片貝・真亀・藤下・西野・粟生など町内の地区に伝わるきつね・むじな・カッパ・大蛇の話や、屋号の由来、天王様ときゅうりの禁忌、将軍の鷹場にまつわる話を、です・ます調の語りで記す。見出しに地区名を添えて話を並べ、後半には神かくし・いそぎつね・船幽霊など町内に共通する話をまとめる。