夜道に付き添うむじなの恩返し
どんな伝承か
真亀に伝わる話。昔、ある漁師が仕事を終え、通い慣れた道なので明かりも持たずに夜道を帰っていた。闇夜のこと、ある家の脇を過ぎたとき、木の上から何かが背中に覆いかぶさるように落ちてきた。冬でどてらを着ていたから、正体も確かめずにどてらへくるみ、急いで家に戻って座敷で脱いでみると、かわいらしいむじなだった。漁師は殺さずに逃がしてやった。何日もたち、むじなのことなど忘れたころ、暗い夜道を独りで帰っていると、子犬ほどのむじながどこからか現れ、暗くても平気だという意味の『へえでねえ』という声を上げながら、前になり後ろになりついてきた。それからは帰り道に必ずむじなが付き添ったので、寂しくなかったという。
原典より
そして「へえでねえ、へえでねえ(暗くても平気だ)」となきながら、前になったり、後ろになったりしてきました。—— 九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
九十九里町誌 各論編 下巻(九十九里町誌)
『九十九里町誌 各論編 下巻』は、千葉県九十九里町の町誌各論編下巻から、第八章「口頭伝承」の第一節「昔話」を収めたものである。作田・片貝・真亀・藤下・西野・粟生など町内の地区に伝わるきつね・むじな・カッパ・大蛇の話や、屋号の由来、天王様ときゅうりの禁忌、将軍の鷹場にまつわる話を、です・ます調の語りで記す。見出しに地区名を添えて話を並べ、後半には神かくし・いそぎつね・船幽霊など町内に共通する話をまとめる。