瓢箪の怪
どんな伝承か
丹羽郡犬山町、いまの犬山市の鍛治屋町に、明和の頃、包重という者がいた。ある夜、外出のついでに、このところ病で寝ている友人の宮助を見舞うことにした。夜は更けていた。宮助の家の戸口が見えるあたりへ来たとき、何かが自分の体に触れながら飛んで行った。目を凝らして見ると、それは一つの瓢箪である。再び戸口へ目をやると、いつのまにか一人の童子が立っていて、包重を見てにやりと笑った。おのれ化け物だなと包重が刀の柄に手をかけると、童子はそのまま姿を消した。翌朝あらためて訪ねると、宮助の病はすっかり良くなっていた。包重は昨夜見た妖怪のことをとうとう宮助には洩らさず、不思議な事もあるものよと腹の中でつぶやいた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・昭和三十六年(1961)刊)
尾張・三河(愛知県)に伝わる伝説を山/海/水/給水・雨乞/地蔵・観音/石・岩/城跡・屋敷跡/塚・墓/地名/動物・変化/植物/祟り・怨霊/山人・巨人/社寺/その他の15章に分類して集成する。尾張富士の背くらべ、女人禁制の山、河童・狐狸の変化、雨乞いの淵、戦死者の塚や落人伝説、社寺の縁起や地名の由来など、愛知の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を地名つきで網羅する。