平家谷
どんな伝承か
平家が亡びたころ、平家の女官と思われる九人の女たちが内田の部落へやって来た。道のほとりの井戸のそばで休み、家の女に水を乞い、井戸の名を「よしの井」と聞いて一夜の宿を頼んだ。家の夫婦は相談したが、夫は平家の落人にかかわるまいと外へ出て、源氏の兵がもうそこまで追って来ていると告げて追い立てた。官女たちは驚き、疲れて一歩も歩けない、もう死ぬよりほかはないと言って、続いてその井戸に身を投げてしまった。それから毎夜その井戸から光るものが南の方へ飛ぶようになり、百姓夫婦も気が変になって井戸に身を投げた。村の人たちはこれを哀れみ、九人の官女と百姓夫婦を吉井明神として祭ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第13巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第13巻』所収の「文化叙事伝説」全35話(福岡・大分・佐賀・長崎=北九州)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。