妻殺し田
どんな伝承か
五月の田植えの忙しい最中のこと。ある早乙女が一人で八升まきの田を植え始め、是非とも自分だけで植え切ろうと本気で働いた。だが女一人の腕では容易ではないので、太陽に「この田を植え切るまではお入りになりませぬように。お日さまと一緒に植え切ることができれば命をさし上げます」と祈願した。ふと顔を上げると、太陽は山の上一メートルほどの所ではたと止まって動かない。早乙女は感謝しながら夢中で植え、ついに植え終えた。すると同時に太陽は山に隠れた。早乙女は畔に出て腰を伸ばしながら「やれよかった」と言い、そのまま死んでしまった。今もその田を早乙女田、塚を早乙女塚といい、発電所のところにある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第5巻』所収の「文化叙事伝説」全104話(千葉・山梨・神奈川・埼玉・東京=関東甲信)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。