水くも
どんな伝承か
この奥に、トリガネが池といって山のつじに池がある。今は沢田になってしまった。昔、この池には雄蛇と雌蛇の大蛇がいたという。池に鴨が来るので坂本の人が撃ちに行っていると、水の底から蜘蛛が上がってきて猟師の親指に糸を巻いては去っていく。何度も繰り返すので根方のあせびの株に糸を掛けておくと、蜘蛛は株ごと池へ引き込んだ。腹を立てて浮き上がったところを、鉄玉を大口の中へ撃ち込んだ。猟師は家内子どもをふとん櫃に入れて錠をおろし、鉄玉を込めて待った。夜、呼び出しに応じずにいると、破風へ上がって穴をうがちのぞいたので撃った。すると「打たれたのは雄蛇だ、わしは雌蛇じゃ。大山の赤松が池へ去ぬるが、破風屋の住まいはするな」と言い置いて去り、その家では破風を作らなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。