猫寺
どんな伝承か
備後比婆郡のスゲにある徳恩寺では、毎年、盆踊りが奉納された。ある年、立派な若い坊さんが出て踊り、休憩の間に戸の中へ入ったきり出てこないので開けてみると、踊っていた笠だけが残り、猫が鳴いて出てきた。後日、商い人が寺で聞いた「なんにもいらん」という声は炉端の猫のものだった。和尚は長年飼った猫が経の力で神通力を得たと悟り、暇を出した。猫は去るにあたり、経蔵に神通力を持った大鼠がいて寺をつぶすと告げ、猫山の友猫を呼んでくれと頼む。二匹を経蔵に入れて三日三晩、地鳴りがやんで戸を開けると、徳恩寺の猫が大鼠をかみ伏せており、猫山から来た猫は力尽きて鼠にやられていた。その猫のために猫山に塚を作り、徳恩寺の猫は姿を消したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第10巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全85話(岡山・広島・山口=中国地方)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。