子安の帯で産婦を蘇らせた白比丘尼
どんな伝承か
若狭国で源氏の某の妻が難産にかかり、七日のあいだ苦しんだ。そのころ白比丘尼という仙女が来てこの苦しみを見かね、忍びがたく思って関の地蔵尊のもとへ詣で、子安の帯を乞い受けて故郷へ帰った。ところが妻はすでに息絶えていた。その帯を死んだ産婦の帯に結んだところ、たちまち蘇生したという。奇異の思いをした仙女は、報謝のためにみずから宝蔵寺という額を負って持ち来たり、仏前に掛けた。今もこれを宝物としている。白比丘尼は寿命八百歳を得たと伝え、若狭国の八百姫大明神がこれであるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。