首が川を上った千方と城立の屋敷跡
どんな伝承か
千方将軍は王命に背いて伊賀の高尾村に隠れ住み、その屋敷跡は高尾村の西北にあるという。峰続きに伊勢の一志郡庄内郷まで至って城郭を構え、四鬼を召し使っていた。討手に向かった紀友雄は謀略で千方を誘い出し、家城村のあいだの瀬戸の渕という所で討ち取った。千方の首は川をさかのぼって飛び、二十余町も尋ね登ってようやく見つかった。首を最初に見た所を今も真見村と呼ぶ。城を築いた所は城立といい、その里の上には千方屋敷という旧跡が残る。首は旗本村に祀られ、霜月五日ごとの祭を俗に君の祭という。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。