義盛旧居と硯石を附会と断じた考証
どんな伝承か
義盛の旧居跡は三津から東へ一町ほど、五峰山の麓の常泉院という小庵の裏の竹林だとされ、義盛が幼いころここで学んだとも言い伝える。近世に薩摩藩士の伊勢兵部が義盛の後裔として訪ねた折には遺物が残っていたが、宝永四年の大地震で山が崩れ寺も埋もれ、今は何ひとつ残らない。南の山腹には義盛の硯石と称する巨岩があり、頂のくぼみに水をたたえる。すさり石が年々退くという話もある。しかし著者は、義盛の生地も墓所も諸書で食い違うと述べ、硯石や遺物のたぐいは後世の人の付会だろうと断じている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。