龍の残した鱗
どんな伝承か
寺地町東での話。随波上人がある日、読経にふけっているところへ美しい娘が訪ねて来て、自分を得度させてほしいと願った。上人がじっと娘を眺めると妖怪の気が漂っていたので、望みはかなえてやろう、ただしまず本身を見せよと言った。娘は驚いたが、何もかも見透かすような上人の目を前に偽りは言えず、池のそばへ行って一滴の水を浴びた。すると池水が渦巻き、黒雲が舞い下りてあたりは暗闇となり、再び明るく静まった時にはそこに大きな竜が姿を現していた。上人が経文の一節を書いて竜の上へ投げると、竜はたちまち元の娘に戻った。娘はいよいよ上人の徳に服し、教えを受けて天界へ上っていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第9巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全100話(奈良・大阪・和歌山・三重=近畿南部/紀伊)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。