西奈村誌が伝える浅畑池の姥神
どんな伝承か
稿本『西奈村誌』は千代田村南沼上の諏訪神社の未来記を引く。社は一名を大野池社、姥神社ともいい、龍爪山の南麓には浅畑の池と呼ぶ広大な池があって、その流れを巴川という。建武年中、守護として在国した脇屋義助が瀬名村の長の娘小菊を寵愛し、小菊は身重のまま親里へ帰り、女児を産んで死んだ。祖母は孫の小葭を育てたが、六十を越えた身で病に臥す。小葭は平癒を祈ろうと浅間神社へ向かい、川合の渡しで河伯に引き入れられて死んだ。祖母は池の守護神となって河伯を退治し千人の食を出すと誓って身を投げ、翌年から池に霊草が生じたという。一周忌の施餓鬼で亡霊が現れ、のち大谷村の寺で戒を受け、諏訪大明神として祀られたと記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。