狐火——林昌寺縁起
どんな伝承か
春日井市外之原町の牛臥山林昌寺の由来。廻間に住む林昌則は毎日山に入って狐や兎を捕るのを仕事にしていた。ある日、山中で道に迷い、木の根に寄りかかって眠っていると、拳ほどの赤い火の玉が次第に近づいてきた。狐狸のしわざと思って矢を放つと火の玉は二つに割れて薄れ、寄ってみると黒白の狐が射た矢を口に含んでいた。昌則は体が痺れ、臥牛山の主とも知らず矢を射たことを詫びて礼拝すると、狐の姿は消えた。頂上に登ると石室があり、放った矢と稲荷大明神の立像があった。昌則は殺生をやめると誓い、稲葉地村龍雲寺の実鑑阿闍梨について悟りを得て観空由公と改め、のち臥牛山の麓に堂を建てて薬師如来を安置した。九十二歳で没した夜、臥牛山に狐火が現れ、全山を包むような奇観を呈したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第7巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全97話(愛知・岐阜・長野・静岡=中部)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。