山之腰の無縁仏の火柱
どんな伝承か
西春町あたりでは、火の玉や火柱は神霊の行き来にかかわるものとされ、火事の前ぶれとも受け止められてきた。ただし火柱の正体は神とは限らず、無縁仏や祖霊であることもあるという。その例が山之腰の話である。墓地を整地したとき、地区の人々の墓は丁寧に弔われたのに、無縁仏の供養はなおざりにされた。すると墓地の上に大きな火柱が立ちのぼるのを見た人がいたと伝わる。この土盛りは昭和七年の五条川改修で出た残土を使ったもので、無縁仏に経を上げてもらうと、関係者の原因不明の病もすぐに治ったという。
原典より
山之腰では墓を整地するとき、無縁仏の供養をおこたったため、大きな火柱が上ったのをみた人がいたという—— 西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異(西春町(編)・西春町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異(西春町(編)・西春町史)
『西春町史 民俗編2――霊と神・祈禱・怪異』は、西春町の町史の民俗編である。九之坪・岡・沖村・石橋など町内の各ムラに残る御嶽山や塚、堂、小祠、石塔、家の神、祈禱師、祈願と参詣、霊威と祟り、狐や狸の怪異と憑きものを、聞き書きと『徇行記』や村絵図などの記録から記す。霊と神、祈願と参詣、霊威と怪異の三節に続けて、第十二章の伝説の節をムラごとの十八項に分けて並べ、最後の項の五条川の大蛇の目撃談で結ぶ。