大火を言い当てた長尾郁子
どんな伝承か
福来友吉が大阪朝日新聞から写した記事によると、長尾郁子の不思議な力は丸亀より前から現れていた。夫の長尾与吉は東京控訴院の判事を辞めたあと宇都宮で九年間弁護士をし、再び判事となって大津から丸亀へ移った。宇都宮での暮らしが終わるころ、郁子は遠からず大火があると胸に浮かび、家族に話してそれとなく用心していた。ほどなく近所のホテルから火が出て宇都宮の大半が焼け、長尾家も丸焼けになった。この予言が当たってから、郁子はさまざまな出来事を言い当てるようになった。長男を亡くして深めた信仰のおかげだと、郁子自身は語っていたという。
原典より
此の予言が中ってから、いく子はますます種々の出来事を言ひ中てるやうになって来た。—— 新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜(田中千代松・田中千代松・心霊研究) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜(田中千代松・田中千代松・心霊研究)
『新霊交思想の研究――新スピリチュアリズム・心霊研究・超心理学の系譜』は、田中千代松が著した思想史の研究書である。死者の霊との交信を説く新スピリチュアリズムと、そこから生まれた心霊研究、さらに超心理学までの系譜を、社会思想史の観点から科学と宗教の闘争史としてたどる。全七章と結語から成り、欧米での勃興、クルックスらの実験研究、マルクス主義からの攻撃、SPRとASPR、井上円了と福来友吉、ラインの実験と超心理学の限界を順に論じる。