寝かせると雨を降らす椿地蔵
どんな伝承か
百姓は日和が続けばお天気祭りを、日照りに困れば雨呼ばりをして神仏に願った。椿地蔵は、そうした百姓の願いをよく聞いてくれる地蔵だった。日照りが続いたある時、若者が二、三人で地蔵を倒して横に寝かせると、たちまち空が暗くなって雨が降り、皆が生き返る思いをした。十分に降ったところで地蔵を起こすと雨はぴたりと止むが、そのとき花や菓子を供えないとなかなか動かない。ある時、菓子くらい無くてもよかろうと起こしにかかると、力自慢を集めてもびくともしなかった。年寄りに菓子を供えなかったせいだと教えられ、菓子と花と線香を供えると、地蔵は造作なく起き上がったという。
原典より
ほの椿地蔵さまは、ほんなふにお菓子が大好きなもんだがら、どおだにちっとでもええがら、お菓子あげで、しんからお願えしっと、どんな時でも、雨降らしたり、お天気にしてくれたりしんだど。—— 氏家町史 民俗編――伝説・昔話(氏家町(編)・氏家町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
氏家町史 民俗編――伝説・昔話(氏家町(編)・氏家町史)
『氏家町史 民俗編――伝説・昔話』は、氏家町の町史民俗編のうち、第五章「くらしと言語」の第一節「伝説・昔話」と第二節「ことわざ、俗言」の初めを収めたものである。昭和七年版『氏家郷土誌』の数編と町史編さん室などが集めた話から選んだ二十七話を土地の方言の語りに直して載せ、勝山城にまつわる歴史伝説や地蔵の信仰伝説が多い。各話の末に方言を主とする語注を付け、ことわざの節では日常に使われた俗言を頭の音(あ・い・う)ごとに並べる。