通り抜けられぬ杉山
どんな伝承か
昔の川田谷にはあちこちに大きな杉山があり、昼でも暗く寂しかった。ある旅人が夜に杉山の道を抜けて隣村へ行こうとすると、岩ほどの大石が道をふさぎ、よけてもよけても石が連なって先へ進めず、怖くなって引き返した。村人は、杉山には狸や狐がすみ夜に人を化かすので誰も夜は通らないと言う。話を聞いた威勢のよい若者が挑んだが、石を避けて歩き回るうちに一晩中抜けられなかった。そこで村人が大勢で棒や竹を手に夜の山へ入り、石を叩くと次々に消えて、隣村まで通り抜けられた。翌日、杉の根元ややぶに大きな狸が何匹も死んでいた。以後は夜でも杉山を通れるようになり、その跡にはのちに泉福寺が建てられたという。
原典より
すると、どうでしょう。道をふさいだ大きな石ころは何処へともなく消えてしまいました。—— 桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史)
『桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話』は、桶川市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその昔話・伝説の部分と第四節「予兆・占い・禁忌・呪い・民間療法」が収められている。昔話・伝説は調査ではほとんど聞かれなかったため、「広報おけがわ」に連載した話を中心に、イットコショダンゴ、古池の大蛇、熊野神社の池の膳椀貸し、狐狸に化かされる話など二十余りを区分せずに載せる。俗信の節は、言い伝えを桶川・加納・川田谷の地区ごとに箇条で並べる。