医光寺の夜道を転がる白い物
どんな伝承か
昔、加納の医光寺のまわりは大きな杉林で、寂しい所だった。近くに住む利助じいさんは、冬の寒い日に町へ出た帰りに酒屋で一杯やり、すっかり暗くなってから上機嫌で医光寺の近くまで来た。寒気がしたと思うと、道端に白く大きな丸いものがぼんやり見える。近づくと畑の中へころころ転がって奥へ進み、さらに追うとぱっと消えて真っ暗になった。家に着いた利助は、迎えた妻が本物かと疑って顔をつねり、怒られてしまう。その後もしばらく、あれは狐だったのか狸だったのかと首をかしげていたという。
原典より
近寄ってみるとコロコロと、ころがって畑の中に入ってゆく、なおも近寄ると更にころがって奥へ奥へと進む。—— 桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史)
『桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話』は、桶川市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその昔話・伝説の部分と第四節「予兆・占い・禁忌・呪い・民間療法」が収められている。昔話・伝説は調査ではほとんど聞かれなかったため、「広報おけがわ」に連載した話を中心に、イットコショダンゴ、古池の大蛇、熊野神社の池の膳椀貸し、狐狸に化かされる話など二十余りを区分せずに載せる。俗信の節は、言い伝えを桶川・加納・川田谷の地区ごとに箇条で並べる。