秩父山頂の祠で交わす食い別れ
どんな伝承か
霊魂が向かう先は山の上にあるとする考え方は各地にあり、伊豆の神津島にある秩父山の山頂は、その典型といえる。島では死後七日目に、葬家へ寝泊まりしていた人々がそろってこの山頂の祠へ詣で、食い別れの食事をとってからそれぞれの家へ帰るという。四十九日や一周忌の法事を終えた後にも、やはりこの祠へ参る。平地の墓へ詣り法事を営むこととは別に、わざわざ山頂へ登るのは、そこへ死者の霊が送り込まれていると考えるためではないかと著者は見る。伊豆諸島の大島・新島・利島に伝わるアッチ山の信仰も同じ流れに置かれる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。