寺の境内にこもる神津島のイミヤ
どんな伝承か
近親を葬ったあと、しばらく世間から隔てた小屋にこもって忌を守る風が、伊豆諸島にはつい近年まで残っていた。神津島では大正年間まで、寺の境内にイミヤと呼ぶ小屋があり、親が死ぬと一家の親族がそこへこもった。両親の喪では二十五日のあいだ、世間と交わらなかったという。三宅島の阿古には、部落から離れた山あいに、沢伝いで墓地へ行き来できるイミカドがあり、子は五十日、跡取りの孫は十五日、他の孫は三日と、死者との近さで籠る日数が違った。新島のカドヤは四か月にも及び、その間の暮らしは村じゅうで面倒をみたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・昭和(民俗学))
民俗学者・最上孝敬『霊魂の行方』。日本各地の葬送習俗を実地調査し、死者の霊魂がどこへ行きどう処理されるかを論じた葬送民俗研究の集成。