山吹村の巫女少女
どんな伝承か
長野県下伊那郡山吹村の鍛冶職某の妻についての報告である。先妻は長女を産んで死に、後妻が次女を産んだ。明治十九年、長女は十一歳、次女は三歳で、四人は貧しいながら暮らしていた。ある日、長女が突然「私がこの数か月で一家を豊かにします」と言い、父が外で夕飯を食べて帰ることまで言い当てた。さらに「この家には死霊のたたりがあるから祀れば金持ちになる」と告げ、知るはずのない昔の由来まで詳しく語ったので、両親は庭に小祠を設けて死霊を祀った。以後、長女は未来の禍福を予言し、紛失物の在りかを告げて十中八九当て、門前市をなしたが、両親は礼金を一切取らなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
井上円了 妖怪学講義(井上円了(平野威馬雄 編著)・井上円了・妖怪学・明治(原著)・現代(編))
哲学者・井上円了(妖怪博士)の畢生の大著『妖怪学講義』を、平野威馬雄が編んだ普及版。円了は真の宗教信仰の障害となる迷信を打破するため、あらゆる妖しきものの正体究明に一身を捧げ、妖怪を物怪・心怪・理怪に大別し、物怪心怪を仮怪(説明可能な迷信)、理怪のみを真怪とした。本書は理学・心理学・宗教学・雑の各部門から具体例を抄録する。序ではコックリ(狐狗狸)を西洋のテーブルターニング由来の無意識筋肉運動と解明。