板に浮かんだ先代住職の顔
どんな伝承か
茨城県取手市のある寺で、霊園造成のため境内にあった樹齢六百年ほどの榧の木を切り倒した。その木を数年後に小縁に使ったところ、しみが浮かびだんだん大きくなって人の顔のように見えてきた。気味悪がって切り取り寺に納めると、人々はそれを先代住職の顔だと言った。住職は、父がこの木を大事にしていたこと、農地解放で寺が没落し父が心痛のうちに亡くなったことを語り、寺の守りとして現れたのだと考え、本尊同様に供養していくと話した。裏側にはさらに丸顔の女性の顔も浮かんでおり、誰なのかは今も分かっていないという。
原典より
そのしみはいつまでも無くならず、段々大きくなって人の顔のように見えてきました。—— 取手市史 民俗編2――将門伝説・怪異(取手市(編)・取手市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
取手市史 民俗編2――将門伝説・怪異(取手市(編)・取手市史)
『取手市史 民俗編2――将門伝説・怪異』は、取手市の市史民俗編のうち、俗信の箇条の末尾に続く第四節「伝説」・第五節「不思議な話」・第六節「祟り」を収めた部分である。市内各地区での聞き取りを話し言葉のまま書き起こし、長い四話は『取手町郷土史資料集 第一集』から抜粋する。将門と桔梗御前の伝説、地蔵・社寺・樹木の伝説、狐やムジナ・化け猫・幽霊・タマセの話に続き、忌田や祟り山の話を所有者名と地区を伏せて載せる。