神を怒らせて血を吸わなくなった蛭
どんな伝承か
下中津井には蛭の森・宮の森という地名が残り、かつてはその上手に宮の森神社が鎮座していた。あたりは足を取られるほど深い湿田で、田に入れば蛇がすぐ脛を這い上がってきたという。ただし、この土地の蛭だけは人の血を吸わない。気味が悪いだけで害はないのだと語られてきた。その理由として、昔この湿田へ入った宮の森の神が、数匹の蛭に取りつかれ、体が丸くなるほど血を吸われたことが挙げられる。神はひどく怒り、足に登っている蛭も水を泳ぐ蛭も、見つけしだい握りつぶしてしまった。以来この地の蛭は血を吸わなくなったという。神社はいま、集落の中ほどに祀られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
北房町史 民俗編(現代(町史民俗編))
岡山県北房町の伝説。潮の満ち引きと連動して水が増える天神川、戦死者や口封じに殺された者を祀る七人みさき、盗まれた観音を刻んで往生した老人の身替り観音、京都の大火を消す八天狗、夜な夜な田を荒らす駒繋ぎの絵馬、賊を湯封じで平定した吉備津彦命の湯荒神、つちぐも退治と裏切りの神田池など、霊水・霊石・武士の霊・弘法大師伝説を豊富に収める町史民俗編。