日光の男千里眼と神隠し
どんな伝承か
日光に千里眼の男が現れたことを、著者高橋五郎の談話として日本新聞が紹介した。男の姓名はまだ分からない。六歳のときに神隠しにあい、明治四十二年の春、二十一、二歳になってふらりと帰ってきた。十年あまり山中にこもっていたので世の中の事情にはうといが、長い山暮らしの中で千里眼の術を身につけていた。島一透と同じく米を食べず、木の実や蕎麦粉を常食とし、今も時おり一週間ほど山にこもる。金品は受け取らないが、山で暗いと困るからと蝋燭だけはもらうという。
原典より
六歳の時所謂神隠しに遇つて四十二年の春廿一二歳になって飄然と帰つて来た—— 心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年))
『心霊哲学の現状』は、高橋五郎が大正八年に著した心霊研究の概説書である。英国のロッジが戦死した子レイモンドの霊と交わした冥界通信をはじめ、欧米の交霊術と霊媒の実例を訳して紹介し、日本の催眠術と千里眼の流行、御船千鶴子・長尾郁子の事件、霊光や念写までを論じる。篇と章に分け、心霊哲学とキリスト教、クリスチャン・サイエンス、淘宮術との関係や、太霊道など国内の霊術諸派も取り上げ、ところどころに評註を添える。