千里眼婦人長尾幾子の精神写真実験
どんな伝承か
明治四十三年の暮れ、丸亀の長尾判事の夫人幾子を相手に、福来博士と今村博士が精神写真の実験を重ねた。二十七日には、目印を描いた箱に納めた乾板に丸や四角を心で写すことに成功した。目印との関係を疑われないよう、二十九日には長尾家の三畳間で何の目印もなしに「天照」の二字を念じさせると、幾子は二十九秒で済んだと告げ、続いて横から丸形を求めると三十六秒で終えた。市内の写真館で現像すると、どちらも鮮やかに写っていた。天照の字は、幾子が朝夕拝む大神宮の御札の文字を思い浮かべたものだという。
原典より
今度は何等の目印なしに幾子の精神に「天照」の二字を浮べ是を種板に印さん事を求めたるに二十九秒にて幾子に「出来ました」と答へて此の実験を終り…—— 心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊哲学の現状(高橋五郎・1919年(大正8年))
『心霊哲学の現状』は、高橋五郎が大正八年に著した心霊研究の概説書である。英国のロッジが戦死した子レイモンドの霊と交わした冥界通信をはじめ、欧米の交霊術と霊媒の実例を訳して紹介し、日本の催眠術と千里眼の流行、御船千鶴子・長尾郁子の事件、霊光や念写までを論じる。篇と章に分け、心霊哲学とキリスト教、クリスチャン・サイエンス、淘宮術との関係や、太霊道など国内の霊術諸派も取り上げ、ところどころに評註を添える。