渡部偉哉氏の念寫
どんな伝承か
山梨県南都留郡西桂村の小学校教師だった渡部偉哉は、精神修養によって念写の力を得た。大正七年四月二十二日の実験では、訓導二人が前日に谷村町の店で買った乾板を封印のまま校長の狛俊英が預かり、教室の卓に置いた。渡部は乾板に触れず、職員九人の立会いのもと、神通力・孝・自分の名の三題を、それぞれ指定された枚目に念写した。宿直室の押入れを暗室にして現像すると、二枚目に神通力、五枚目に孝が現れ、六枚目の名だけは何も出なかった。
原典より
二枚目の乾板は八分の現像によりて神通力(第三十三圖B)を現はし、五枚目は十分にして孝を現はし、六枚目は十分を過ぐるも、何物をも現はさなかつた。—— 心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年))
『心霊と神秘世界』は、文学博士福来友吉が著し、昭和七年に人文書院から発行された心霊研究と仏教思想の書である。御船千鶴子・長尾夫人・三田光一らの透視と念写をはじめ、霊の幻化、念動、物質化など国内外の心霊現象を実験記録とともに論じ、後半では自我・神秘世界・霊と生命を真言密教や華厳の教えによって説く。全五編からなり、この本文は昭和五十七年に心交社が出した復刻版で、梅原正紀・井村宏次らの「解説研究編」を付している。