三上千蔵と言う人が伊予に旅行して聞いた話を送ってくれ
どんな伝承か
愛媛県松山市唐人町での話。三上千蔵という人が伊予に旅行して聞いた話を送ってきた。柏井という油屋の持家で、はじめ松山病院院長の渡辺悌次郎が住んでいた頃は怪異もなかったが、二十年ほど前、陸軍衛戍病院の医士と松山警察署の刑部が男ばかりで間借りしていた時に異変が起きた。二階からどんどんと馬に乗って下りる音がし、夏に蚊帳を吊っていると、甲を着た坊士が痩せた駄馬に乗って蚊帳の周りを回る。夜中の十二時頃から二時間ほど続くが、咳払いをすると消えたという。昔、松山藩の贋紙幣をある坊士がこの油屋柏井の家で密造して見つかり、駄馬に乗せられて町を引き回された後、死刑にされたのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。