北陸なまりの声を聞いた夜
どんな伝承か
語り手は母が勤めに出ていたため祖母の手で育った。昭和五十三年二月末日の夜、すでに祖母や母のもとを離れてアパートに住んでいた語り手は、五歳の夏に祖母と二人で金沢を旅した日をふと思い出した。八時頃、祖母が手縫いしてくれた新しい着物のしつけ糸を取って羽織り、まどろむようなけだるさに浸っていると、北陸なまりの祖母の声が聞こえた。そのすぐあと、母から、祖母がたったいま息を引き取ったという知らせが届く。前触れとなる病はなく、心臓発作だった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。