大正十一年、乳幼児であった賢亥は、高熱が続き、ひきつ
どんな伝承か
大正十一年、乳幼児であった賢亥は高熱が続き、ひきつけを繰り返して危篤に陥った。父は両脇の下と股ぐらを湯たんぽで温め、頭を氷で冷やし続けたが、ついに呼吸が止まり、医者は臨終を告げた。遠方へは電報を打ち、市内には使いが走った。市内の叔母が死に顔を拝もうと亡骸の白布をめくると、大きな目がぱちくりと開いていた。呼吸が戻り、病は癒えていた。祖母は柳川の隣町の三橋にある島田のひきつけの地蔵に願をかけており、地蔵が身代わりになられたのだとありがたがった。遠方から悔やみ状が続々と届いたという。
原典より
母が亡くなったのは昭和五十六年です。—— 現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。