七福神の舟に引き戻された盆の危篤
どんな伝承か
昭和五十三年の盆の日、広瀬に住む元気な母が突然倒れ、意識のないまま危篤に陥った。医者も手の施しようがないと言い、点滴だけの日が一週間続いたが、二十三日の地蔵盆になると急に意識が戻り、歩けるまでになって医者を驚かせた。母は見舞う人ごとに、広い海の彼方へ渡ろうとしていたら七福神が舟で現れ、無理やり自分をすくい上げて舟に乗せ、もう一度帰れと言って引き戻してくれたのだと真顔で語った。寝床の下には、自分で継ぎ合わせた古い七福神の刷り絵が敷いてあったという。母は翌年四月、九十歳で静かに世を去った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。