棺桶の中で生き返った祖母
どんな伝承か
五所川原の近郊で、和島秀子という主婦が語った実家の祖母の話。その祖母は十七で嫁ぎ九人の子を産んだが、三十歳の頃に産褥熱で息を引き取り、死装束を着せられて棺桶に納められた。和尚が経を読んでいると妙な物音がする。読経をやめると、棺の内側からこんこんと叩く音が響いた。蓋を開けると死人が息を吹き返していた。祖母によれば、太鼓橋を渡り花の咲き乱れる道をどこまでも歩くうち花が絶え、気づけば棺の中にいたので、埋められてはたまらぬと夢中で叩いたのだという。一度死んだから長生きするという言葉どおり、九十六歳まで生きた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和)
松谷みよ子『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』を小話単位で全699話収録。死の知らせ・予兆、あの世(地獄・極楽)へ行った話、死者からのサイン、生まれかわりなど、生死とあの世にまつわる現代の民話を全国から採集し地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明606話・市区町村判明489話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。