児島宇頭間の峠
どんな伝承か
岡山県倉敷市の児島宇頭間の峠での話である。「赤旗」の県南部ルートの配送をしていたMさんは、岡山駅に午前一時頃着く列車の新聞を車に積み、県南部のポストに下ろして回っていた。昭和五十二年のある日の午前三時頃、宇頭間の峠を児島味野方面へ走っていると、峠の手前で女が手を上げている。悲しそうな顔で乗せてくれというので助手席に乗せた。しばらく走って次のポストに近づいた時、ふと助手席を見ると女がいない。座っていた所には百円玉が一つ落ちていて、それが濡れていた。Mさんはそれきりルート下ろしの仕事をやめた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。