昭和初年頃のこと
どんな伝承か
昭和初年頃のこと。京都府立医大に入院していた娘が亡くなったころ、医大前でタクシーを止めた娘が、神戸の実家の前で降りて家の中へ入っていった。運転手が料金を貰おうとその家へ入って声を掛けると、そこには娘の写真が飾られ、家人は通夜の準備をしていた。運転手が見た娘と写真の娘は同一人物であったという。両親は「娘の霊が、娘が一番好きだった着物を着て、病院から家へ戻って来たのだ」と言って泣き崩れたと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。