円盤に吸い上げられた農家の青年
どんな伝承か
座談の中で紹介された地方新聞の記事。仁頃で農業を営む二十八歳の青年が、六日の午前三時ごろ戸を叩く音で外に出ると、身長一メートルほどで尖った頭にアンテナのある宇宙人が立ち、そばに直径八メートルほどの円盤がオレンジ色の光を放って浮かんでいた。逃げようとすると熱い風とともに円盤に吸い込まれ、三十分ほど後に三キロ離れた場所に降ろされたという。以来宇宙人とテレパシーで交信でき、月へも行ったと語ったが、持ち帰った石は北見工大の鑑定で近くの鍾乳洞の石灰岩と同じとされ、騒ぎになった。
原典より
びっくりしたAさんは逃げようとしたが、熱い風とともに円盤内に吸い上げられた。—— 私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。