坊主の忠告を破って潰れた家
どんな伝承か
所沢市西部に住む財産家の家があった。屋敷を建て直すことになり、近くの寺の僧に家の造りや日取りを見てもらうと、僧は古い家を特定の日には絶対に壊してはいけないと告げ、新しい家でも古い鴨居を使うことも固く禁じた。この僧は方角や家の造り、病気の原因まで何でも見てくれるとして評判が高く、よく当たると知られていた。しかしA家はどうしても鴨居を使うと言い張り、また事情があったのか、僧が禁じた日に古い家を取り壊してしまった。金をかけて立派な新居を建てたにもかかわらず、まもなくA家は没落し、家がつぶれてしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
所沢市史 民俗編(所沢市史・昭和中期(推定))
本書は埼玉県所沢市の民俗編として、明治から昭和戦中にかけて市内に伝承された怪談や民間信仰を記録した資料である。主な内容は、家に棲み着くヘビ、仏様が姿を変えた霊的存在、天狗やカッパなどの妖怪に関する伝承、雷獣などの民俗的存在が多く、これらは子供のしつけや禁忌事項として語り継がれていた。記録された話の多くは目撃者からの伝聞であり、所沢市内の実在する地名(北秋津、南永井、久米、本郷など)と結びついた地域固有の民間信仰を示している。