暗い坂道で踏んだツチコロビ
どんな伝承か
昭和初期の話。蒜山は中国山脈の中の山で、鳥取と岡山の県境にそびえ、上・中・下の三山からなる。ここにはツチコロビという、体の短い蛇のような生きものがいるといわれていた。土の上を転がるようにして、あるいは転がって走って人を追いかけるのだそうだ。その山麓、鳥取県側には南谷という村がある。ある晩、大鳥居の部落では公会堂で寄合いがあった。閉会して帰る途中、真っ暗な坂道で熊蔵さんがツチコロビを踏みつけてしまう。とたんにそれがコロコロと転がり、熊蔵さんは仰向けざまにひっくり返った。石ころを踏んだのだろうと言う者もいたが、熊蔵さんは絶対にツチコロビだったと譲らない。夜更けには里にも下りてくるのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)