貧しい大名が植えた東照宮参道の杉
どんな伝承か
日光の東照宮へ行けば、参道の両側に杉の大木が何百本と並んでいる。陽明門をはじめ金をかけた建物も多いが、語り手はあの杉のほうがよほど金目の財産だと感じたという。むかし東照宮を造るとき、日本中の大名から寄付を出させた。大名たちは将軍によく思われようと、無理をしてでも金や人夫を出し、社殿は立派に仕上がった。その中でいちばん小さく貧しい大名は金が出せず、代わりに参道の周りへ杉を植えた。それがその大名にできる精一杯の仕事だったという。杉は少しずつ太り、何百年も経った今では、どの大名の寄進もかなわぬほどの財産になっている。山の木は知らぬ間に見事な財産になるものだと思い知らされた、と語られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)