枯れかけた稲荷の榊と祖母の病
どんな伝承か
七〇年から八〇年ほど前、富岡での話。語り手の祖母の祖母にあたる高瀬とみは、当時六五歳ほどで、年中どこかしら具合が悪かった。思いあまって占いにかかると、占師は、お稲荷さんのところの榊が枯れかけている、それが体の障りなのだと告げた。稲荷は藪の中にあって、とみもふだんは足を運んでいなかった。行ってみると確かに榊は弱っており、とみは参って水をやるなどの世話を続けた。するとやがて榊は芽を吹いた。占師は、芽が出れば案じることはないと言い、その言葉どおりとみの体はしだいに楽になって、難儀するほどではなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 9 (木霊・蛇)(松谷みよ子・現代民話考・昭和〜平成)