石貫
どんな伝承か
熊本県玉名市石貫での話。一番上の姉は明治四五年生まれで綱といい、数えで八つほど、小学校に入った年のこと。雨上がりの夕方、上の屋敷へ行くと、三歳ほどの三番目の姉つじがちょこちょことついていった。すると夏みかんの畑の向こう、竹藪の間に、パラソルほどもある巨大なナバ(きのこ)があったという。驚いた綱は妹をそこに待たせて家へ引き返し、すぐ下の妹を呼んできたが、二人で戻るとナバは影も形もなかった。つじは「それはねえ、ほんとにあったのよ」と言い張った。その上は孟宗竹の藪で狸が棲んでおり、狸に化かされたのではないかという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。