私らは見たことないけんどな、ここいらの部落でも昔は狸
どんな伝承か
美馬郡一宇村(現つるぎ町一宇)に伝わる話。昔、この辺りの部落では狸がよく灯をつけ、「ごどごど」と音を立てて来たという。提灯の時代、婚礼は夜に営まれ、嫁を迎える行列が提灯をさげて大勢で歩いた。嫁がきれいだというので、人々は一目見ようと橋のそばに集まった。すると狸がその嫁入り行列を真似て、提灯の灯をつけ「ごどごど、ごどごど」と音を立てて近づいてくる。「今晩はきりこしの方から嫁さんが来る、見に行こう」と橋を渡って来るものと思って待っても、いくら待っても嫁は来なかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 11 狸・むじな(松谷みよ子・現代民話考・1970年代~1980年代)
松谷みよ子『現代民話考 11 狸・むじな』を小話単位で全376話収録。狸・むじなにまつわる現代の民話・怪異譚(化かし・化け)を全国から採集し収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明372話・市区町村判明317話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。