大野郡和泉村と河童の縁は深く、今でも河童が教え
どんな伝承か
福井県大野郡和泉村と河童の縁は深く、河童が教えてくれたという傷薬を作る家もあり、門口に下がった木のナワカケを指して、ここに河童が魚を吊しておいてくれたと語る家も一軒二軒ではないという。ある夜、村の人たちは河童が「川の水をかえてくれ、水がおとろしい」と悲しい声で訴えるのを聞いた。十人以上が聞いたが、九頭竜川は青く澄んで変わりがない。うるさがられた河童たちは、ある夜、激しい雨の中を山へ立ち去った。二年後、村長が県に呼び出され、川がカドミウムに汚染されていたと知らされる。村人が山へ登って礼を言うと、霧の奥から「百年したらもどっていくさかい、それまで川をきれいにしておいてくれえ」と答える声がした。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 1 河童・天狗・神かくし(松谷みよ子・現代民話考・1970年代)
松谷みよ子『現代民話考 1 河童・天狗・神かくし』を小話単位で全532話収録。河童・天狗・神かくしにまつわる現代の民話・怪異譚を全国から採集し、地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明530話・市区町村判明477話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。