一宮の神に仕えた長者が神意に背いて退去する折
どんな伝承か
作州一宮の門前の河原市は、もと伽多野長者が興行した地である。長者は古くから一宮の神に仕える者であったが、あるとき神意に背くことがあって此の地を退転せねばならず、家財も牛馬も取り集める暇がなく、ことごとく河原に打ち棄てて行った。神はこれを見てあまりに不憫に思われ、長者が苫田郡西苫田村大字小原まで行ったのを呼び戻し、将来その河原で家財牛馬の市を立てることを許された。その長者は名を一丸といい、永く久米郡の弓削庄に長者として住んでいたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男・日本放送協会・昭和25年刊)
柳田国男・日本放送協会編『日本伝説名彙』を全650話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。