入江に身を投げた真間の手古奈
どんな伝承か
市川市真間の手古奈堂は、万葉集に収められた高橋連虫麻呂の長歌以来語り継がれてきた手古奈の物語に拠っている。むかし真間の里に、身分は低いながら貴人の娘よりも美しく清らかな乙女が、素朴に暮らしていた。その微笑に心を奪われた里の男たちは競って結婚を申しこんだが、乙女はどの男の心にも従おうとせず、ついに人の世をはかなんで入江へ身を投げてしまったという。妻を争う説話のひとつである。緑に囲まれたいまの堂は安産の神として信仰され、四月と十月の八日九日の例祭でにぎわう。
原典より
市川市真間の手古奈堂は、『万葉集』に残っている高橋連虫麻呂の長歌以来の手古奈の伝承を基盤にしている。—— 房総の年輪 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
房総の年輪
編『房総の年輪』を全93話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。