三国山金毘羅峠の鶇仲買人
どんな伝承か
時は大正九年十月三十日の朝の九時過ぎ、処は三河・美濃・尾張の境である三国山の東、金毘羅様の峠の大きな松の樹の蔭。案内に立った飯野の経師屋が、美濃の下石の鶇仲買人である竹さんを捕まえた。竹さんは鳥小屋の前景気の時分に、この辺の村を歩いて高い値で鶇を買う予約をし、今になって逃げ回っていたのである。図星に中って経師屋は大得意で調子が高く、不義理の竹さんは一言もなく閉息し、渋々十円何がしをここで勘定して、高価な鶇を文字通りに背負い込んだ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第2巻』を全331話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。